空を駆ける新時代へ——「STAR WALKERS」が描く移動革命

次世代エアモビリティ「STAR WALKERS」お披露目

2025年10月16日、東京都内で開催されたメディア向けお披露目会。ステージ上でベールが外されると、会場からどよめきが起こった。そこにあったのは、ワンボックスカーに収まるサイズの”空飛ぶスポーツカー”だった。

株式会社ワールドスキャンプロジェクト(W.S.P)が開発した次世代エアモビリティ「STAR WALKERS(スターウォーカーズ)」。同日より予約販売が開始されたこのプロダクトは、モビリティの常識を変えようとしている。

遺跡調査から生まれた空への挑戦

W.S.Pはこれまで、独自開発のドローン技術を駆使して世界各地の遺跡を3Dスキャンしてきた。エジプトのピラミッドから日本の古墳まで、人の手では困難な場所のデジタルアーカイブ化に取り組んできた企業だ。

代表取締役の上瀧良平氏は会見で「ドローンスキャン技術を基盤に、次なる挑戦としてSTAR WALKERSを開発した」と語った。

製品名には「地球という星を歩く人」という想いが込められている。遺跡調査で培った飛行制御技術が、人を乗せて空を飛ぶという挑戦へと昇華された。

「持ち運べる」という発想の転換

上瀧氏が最もこだわったのが「どこでも好きな場所へ持ち運べる」という点だ。機体サイズは全長約2m、全幅約1.6m、全高約1.3m。ワンボックスカーにすっぽり収まる設計になっている。

自宅から車に積んで海辺や山間部へ移動し、好きな絶景ポイントで空中散歩を楽しめる。従来の大型エアモビリティが専用の離着陸場を必要としたのに対し、STAR WALKERSは「母艦」となる車さえあれば活用シーンが無限に広がる。体育館やドーム会場などの屋内でも飛行可能で、ライブイベントでの演出や学校での体験教育といった用途も想定されている。

15分間の飛行を実現する技術

STAR WALKERSは完全電動のeVTOL(電動垂直離着陸機)として設計されている。機体の四方に配置された4軸の2重反転プロペラを、独立した8つのモーターで駆動する。バッテリーを含めた機体重量は146kgと軽量ながら、最大離陸重量は246kgを確保した。

最大飛行時間は15分。エアモビリティとしては驚異的な長時間飛行だ。最高速度は時速50〜60kmで、景色を楽しみながらの空中散歩に最適化されている。航続距離は約10〜14kmだ。

安全面では高度なセンサーとGPSシステムが飛行の安定性を確保し、障害物回避機能や自動着陸システムも搭載。バッテリー残量が少なくなるとアラートが鳴り、予備バッテリーへの自動切り替え機能も備えている。

電動モーターを採用しているため、飛行時に二酸化炭素を排出しない。従来のエアモビリティと比較して騒音も大幅に削減されており、住宅地周辺でも騒音問題を最小限に抑えられる可能性がある。

レジャーから災害対応まで

上瀧氏は「ワンボックスカーと合わせて2500万円ほどで空の移動革命に踏み出せる」と語り、実際に搭乗体験できる専用施設「MARS DOME」の展開も計画している。

活用シーンはレジャーにとどまらない。災害発生時には車でアクセス可能な地点まで運び、そこから孤立地域へ最短ルートで物資や救援を届けることができる。医療分野でも、患者の緊急搬送や医療機器の配送、遠隔地や途上国へのワクチン輸送など、アクセスが困難な地域への支援ツールとしての可能性を秘めている。

販売価格は2150万円(税別)。2025年10月16日から予約受付を開始しており、予約手付金100万円(税込)で2027年納車予定モデルの枠を確保できる。

空を駆けるエンターテインメントから、災害対応、医療サポートまで。STAR WALKERSが切り拓く「空の移動革命」は、もうすぐそこまで来ている。