牛角、新戦略「定番焼肉コース」を発表 — 低価格帯で高頻度利用を促進、収益拡大を目指す

物価高騰を受け外食を控える方が増加する中、レインズインターナショナルは主力ブランド「牛角」の新戦略として「定番焼肉コース」を導入。低価格帯と選択の自由度を両立した新メニューは、来店頻度向上による収益拡大を図る。その背景と戦略、今後の展望を探る。

物価高騰でお客様の「財布の紐は固い」

物価高騰の波は、消費者の外食控えに直結し、焼肉業界もその影響を免れていない。「気軽に焼肉を楽しむ機会が減ってしまった」という声は、牛角にとって大きな課題だ。こうした状況下、レインズインターナショナルは主力ブランド「牛角」の新戦略として「定番焼肉コース」を導入。低価格帯と選択の自由度を両立したこの新メニューは、来店頻度向上による収益拡大を図る一手として注目を集めている。

従来の「食べ放題」ではなく、「定番焼肉コース」へ

かつては「日常使い」の選択肢の一つだった焼肉だが、昨今の経済状況は、消費者の行動に変化を促している。牛角はこの現状を打破すべく、「定番焼肉コース」で新たな顧客層の獲得を目指している。

「定番焼肉コース」は、焼肉5種類(1人前200グラム)に加え、選べるサイドメニューとデザートがセットになったコース。価格は約2500円と、従来の食べ放題に比べて1000円以上も低価格に設定されている。これは、価格に敏感になった層を取り込むための戦略的な価格設定と言えるだろう。

レインズインターナショナルの関係者は、「仮に客単価が若干下がったとしても、お客様に2ヶ月に1回ではなく、1ヶ月に1回来店頻度を増やしていただくことの方が牛角としては大事」と語る。これは、薄利多売戦略による収益拡大を目指す同社の強い意志の表れと言える。

低価格とハレの日需要の両立へ

しかし、低価格化は客単価の減少に直結するリスクも孕んでいる。この点について、同社は「定番焼肉コース」を戦略的に配置することで、既存の食べ放題コースや単品注文とのカニバリを最小限に抑える考えだ。具体的には、家族連れや若者層をターゲットとした食べ放題、ビジネス層や特別な日をターゲットとした単品注文、そして価格重視層をターゲットとした「定番焼肉コース」というように、それぞれのコースを明確に差別化することで、多様な顧客ニーズへの対応を目指している。

競合他社も、低価格帯のメニューや食べ放題プランを強化するなど、様々な戦略を展開している。牛角は、高品質な肉とサービス、そして多様なメニュー展開で他社との差別化を図り、競争優位性を確保していく考えだ。

「定番焼肉コース」の導入は、短期的な収益拡大だけでなく、中長期的なブランドイメージ向上にも繋がる可能性を秘めている。今後のプロモーション戦略や顧客獲得施策が、同社の成長を大きく左右するだろう。

牛角の挑戦は、価格競争が激化する焼肉業界において、新しいスタイル構築を目指すものと言える。その成否は、今後の外食産業全体の行方を占う試金石となるかもしれない。