スモールIPOで10倍成長!ベクトル西江社長が語る、起業家に送るIPO体験と成功の秘訣

本日の創業者は、ベクトルグループの西江社長。関西学院大学在学中に起業し、PR会社を設立、マザーズ上場を果たし、現在東証プライム市場。上場時の時価総額は約40億円。いわゆる「スモールIPO」だったが、時価総額1000億企業まで成長させ、その後子会社のPRTIMESも上場を果たす。今回のインタビューでは、西江社長自身のIPO体験、成功の秘訣、そして起業家へのメッセージを伺った。

孤独な起業家を支える、「おめでとう」

IPOのメリットは何か?西江社長は「周囲からの祝福」だと答える。学生時代から起業家として走り続け、常に結果を求められる中で、周囲の賞賛は大きな喜びだったという。起業家は孤独な戦いを強いられる。だからこそ、IPOという一つの到達点を達成した時に得られる賞賛は、金銭的な報酬以上の価値を持つ。それは、努力が認められた証であり、更なる挑戦への原動力となる。

西江社長自身、IPOを目指していたわけではなかった。東日本大震災後の思わぬ業績好調がきっかけで、証券会社からの後押しもあり、流れで上場を決めたという。当時の心境を「自分の会社のPRもできていないし、準備もできていないのに…」と振り返る。しかし、このスモールIPOが、その後の飛躍的な成長の礎となった。

IPO成功の秘訣は「上場を決意すること」

数多くの企業を見てきた西江社長は、IPOできる経営者とできない経営者の決定的な違いを「上場を決意しているかどうか」だと断言する。目標設定の重要性はあらゆる分野で説かれるが、IPOにおいてもそれは変わらない。上場という明確な目標を持つことで、経営姿勢は自ずと変化し、日々の業務への取り組み方も変わってくる。目標設定は、すべての始まりなのだ。

もう一つの重要なポイントは、常に学ぶ姿勢を持つこと。西江社長は、投資の世界に身を置くことで、最先端の情報に触れ、市場の動向を常に把握している。「投資の情報は、自分の事業に一番役立つ」と語るように、異分野の知識や情報は、ビジネスのヒントとなり、新たな発想を生み出す源泉となる。常に学び続けることが、変化の激しい現代において生き残るための必須条件と言えるだろう。

IPOだけが成功ではない。M&Aという選択肢も

IPOは企業にとって大きな転換期となる。資金調達、知名度向上、人材確保など、多くのメリットがある一方で、上場維持のための厳しい規制や情報開示の義務も伴う。西江社長は、IPOだけが成功の形ではないと語る。M&Aという選択肢もあり、どちらが良いかはケースバイケースだとしながらも、起業家として挑戦することの意義を強調する。

「今の時代は、スモール経営で上場する時代。賢くないと生き残れない」と西江社長は言う。かつてのように、がむしゃらに努力するだけでは成功は難しい。常に変化する市場を的確に見極め、柔軟に対応していく必要がある。

西江社長の言葉には、自身の経験に基づいた重みがある。IPOはゴールではなく、新たなスタート地点。上場という大きな目標を達成したとしても、そこで満足することなく、常に学び、挑戦し続けることが、さらなる成長へと繋がる。それは、すべての起業家にとっての普遍的な真理と言えるだろう。